福祉系建物で不動産活用を考える
地主さん・家主さんが障害者グループホームに取組むときの立ち位置が、劇的に変化しました。15年前、私達は皆様に対して、「世の中には、困っている障害者の方が大勢いらっしゃいます。ご所有の土地・建物をご提供いただけないでしょうか」というご協力のお願いでした。それが今や、「障害者グループホームを初めとする福祉系建物は、相続税対策になるとともに、長期一括借り上げなので空室の不安もない、優良な賃貸経営事業です」と積極的にお勧めできるように変化してきています。
劇的変化の背景
2015(平成27)年から相続税が課税強化され、東京23区では相続発生3~4件に1件で、相続税を払わなければいけない事態になっています。相続税対策として、皆様で競うように賃貸物件を建築されていますので、東京都内では毎年7万戸以上のペースで賃貸物件が増加。雨後の竹の子のように賃貸物件が増加しますと、当然のごとく空室率は上昇します。そうは言っても、土地活用は相続税対策には非常に有効です。
空室リスクの少ない土地活用策を検討する必要があります。
空室リスクの少ない賃貸需要とは
高齢者人口の増加で高齢化率は29%を超え、「超高齢社会」に突入しています。併せて、一人暮らしの高齢者が大幅に増加していますので、高齢者住宅・施設の需要は、これからも増加していきます。
1年間の出生者数が100万人を下回るような、少子化時代になっているにも拘わらず、保育園に入れない待機児童があふれています。今から40年前は、専業主婦世帯が65%だったのに、現在では70%が共働き世帯になりました。まだまだ、保育園増設が求められています。
東京都内で、2004(平成16)年度に49万人だった障害者は、15年後の現在では71万人と、45%も増えています。併せて、障害者の高齢化が進んでいますので介護している保護者の高齢化も進み、引きこもりの人達と同じような「80-50問題」「90-60問題」が起き、障害者の住まいに対する需要が急増しています。
【高齢者福祉での建物需要】
- 養護老人ホーム、特別養護老人ホーム、軽費老人ホーム、有料老人ホーム、認知症高齢者グループホーム、サービス付き高齢者向け住宅
- 訪問介護事業所、訪問看護事業所、訪問リハビリテーション事業所、居宅介護支援事業所
- 通所介護事業所、通所リハビリテーション事業所
- 短期入所生活介護事業所、短期入所療養介護事業所 等々
【児童福祉での建物需要】
- 認可保育所、認証保育所、認定こども園、認可外保育施設
- 学童保育施設 等々
【障害者福祉での建物需要】
- 障害者グループホーム、ショートステイ事業所、福祉ホーム
- 就労移行支援事業所、就労継続支援事業所
- 居宅介護事業所、訪問介護事業所、生活介護事業所 等々
福祉系建物に必要な敷地条件
対象地の周辺では、どのような福祉的需要があるのを調査する必要がありますが、併せて土地の形状・面積等を考慮すると、どのような福祉系建物が建設できるのか検討しなければなりません。次の表は、福祉系建物建設に必要な敷地対応条件をまとめたものなので、あくまで目安ですが参考にしてください。実際の対象地の建蔽率・容積率、用途地域などにより、詳細な確認作業が必要となります。また、一つの建物だけを建設するのではなく、複合施設として計画することも可能なので、詳細は専門家にご相談ください。