「相続対策を念頭に置いた資産運用とは?」
2020(令和2)年1月28日(火)に行われた賛助会員様向け「地主さん、家主さんに必要な資産運用と相続対策の基礎知識」勉強会では、株式会社 青山財産ネットワークス執行役員の小野高義様から、標記のテーマでお話しいただきました。地主さん・家主さんがやるべき資産運用を詳しく解説していただきました。
1.地主さん・家主さんにとっての資産運用の目的は?
(1)資産運用目的
資産運用では、まず目的が大事ではないかと思います。一般的には、生活費、キャッシュフローのUPを目指しますが、地主さん・家主さんでは、相続対策の役割が大きな比重を占めます。納税資金の確保、遺産分割資金の捻出、相続税課税評価減をしながらの資産運用が必要となります。
(2)現状の把握
皆さんに、「相続時に納税資金は、いくら必要かご存じですか?」と質問をすると、「いくら位か把握しています」とお答えをいただきます。ところが、殆どの方は現時点での相続税把握なので、10年・20年先の平均余命までのことは考えられていません。折角、資産圧縮のために借入れをしたつもりの残債額は減っていくし、建物は減価償却してしまい、将来の相続税はどんどん上がっていくはずなのです。
相続が発生する将来時点での、相続税額、納税資金、遺産分割資金の把握が必要であるとの視点が抜けてしまっているのです。
2.不動産を仕分けして、理想のポートフォーリオをつくる
(1)守る不動産と守れない負動産に仕分けする
守る不動産と、守れない不動産(=負ける不動産)に仕分けする必要性があります。自宅とか自用で使っている、収益が上がるのが、守る不動産です。守れない不動産というのは、活用ができない、お金を稼げない土地とかで、固定資産税・相続税が掛かってマイナスになる不動産です。相続の時になくなってしまうだけなので、まずは、何が最有効の活用かということを考えなければいけないのですが、場合によっては売却して現金化するというのも一つの方法です。
(2)売却後の現金を、目的により資産運用
守れない不動産なので、将来の納税資金として残しておくと考えられる方がいらっしゃいます。ところが、人口が減ってくるような場所であれば、価格が下がってしまい、納税資金も賄えなくなります。その場合、現金化してそこから運用していけば良い訳です。
(3)財産防衛のための理想的なポートフォーリオ
国税庁によると、相続財産の中で不動産の占める比率は減ってきてはいますが、まだ40%強を占めています。これは一般的な平均値なので、地主さん・家主さんに限ってみると、さらに不動産の占める比率は高くなっています。不動産と金融資産のバランス、国内資産と海外資産のリスクを考えて財産構成を見直し、相続税・キャッシュフローを考慮して健全な財産防衛を行うため、図表にあるような理想的なポートフォーリオを目指されては、いかがでしょうか。