「収益不動産の購入戦略」

2021(令和3)年2月10日に開催しました「不動産なんでも相談会」では、当協会相談員・小池哲平が、「販売図面から読み解く収益不動産」というテーマを取り上げ、①知っておきたい販売図面の読み方・見方のポイント、②収益不動産購入戦略、③収益不動産の成功事例と失敗事例などの内容でお話しさせていただきました。ここでは②の内容について報告させていただきます。

1.収益不動産購入の基礎知識

・不動産購入戦略には、計画→実行→確認→改善というPDCAサイクルが必要で、一度決めた計画も実行していく過程で、状況によって見直しを行うことが重要です。

・収益不動産を購入する目的には、①とにかく資産を増やしたいという収益のため、②相続税納税負担を軽くするため、という2種類があります。

・不動産からの収益を見る場合、保有していて毎月の賃料収益を考えるインカムゲイン、将来売却した際の売却差益を考えるキャピタルゲインの2つの見方があります。

・代表的な不動産戦略は、

①コア型:立地、グレードなどが一定以上の優良資産に投資する手法、

②バリューアッド型:物件のリニューアル、テナントに対する賃料引き上げ、コスト削減などを行い、利回りを向上させて保有する手法、

③オプチュニティ型:問題がある物件を相場より安く購入し、将来の売却によるキャピタルゲインを目指す手法、の3種類が代表的です。コア型とバリューアッド型の中間を狙うのが一番良いと思われます。

2.不動産購入の戦略を練る

・何の目的で不動産を購入するのかを考える。収益性の良い物件なのか、相続税対策として効果が高いのか。収益対策になりかつ相続対策になる物件を探すのか、家賃収入が上がらなくてもよいから相続対策ができれば良いと考えるのか。

 前者であれば事務所・店舗、商業ビル、中古賃貸アパート・マンションが該当し、後者では投資マンション、分譲マンションなどが対象として考えられます。

・実際に相続対策からみた戦略ということで、何故、不動産を買うと相続対策になるのか考えてみましょう。現金1億円をお持ちであれば、相続税評価額はそのままです。ところが、土地6,000万円、建物4,000万円、合計1億円のアパートを購入すると、不動産の評価額計算、貸家建付地・小規模宅地の評価減・借家権割合で4,480万円も評価額が減少します。資産を不動産に変えると非常に相続対策になるのです。端的に言いますと投資用マンション、分譲マンションというのは、かなり良い節税対策になると言われています。             

3.物件の収益性と相続税対策

・相続税対策のために建てたり、買ったりしたが、節税対策にばかりに目が行き過ぎて、賃貸経営としては全然儲かっていないという方からの相談が増えています。

・不動産収益と相続税対策の両方から不動産購入を考える判断基準を「ROA判定」と言います。「不動産収入÷不動産の相続税評価額」で、実際に何年かかって相続税評価を稼ぎ出せるだろうかと計算するものです。

・ROA判定が6%以上、手元のキャッシュが30%以上残るような物件が、購入するのに望ましいと思いますので参考にしていただければ幸いです。

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