『せっかくの土地を遊ばせていませんか。土地は資産です。』

かつて日本には土地神話があり、土地は持っているだけで価値が上がっていくと思われていました。しかし、時代が変わり今や活用してこその資産という時代となっています。土地活用について一緒に考えてみましょう。

取得財産価額のうち土地が50%以上を占めることから、個人の資産の半分以上は土地ということになる。

なぜ土地活用なのか?

一般的に個人資産というと、その大半を占めるのは現預金、そして土地建物などの不動産です。皆様の中にも、不動産の資産をお持ちであるという方が多いはずです。すでに不動産を収益が生まれるように活用されている方もいれば、土地活用への関心が高くこれからの勉強のために、お読みいただいている方もいらっしゃるかもしれません。
個人資産を分類すると、「現金・預貯金」、「有価証券」、「不動産」の3つに分けることができます。相続税の対象となった課税価格の中で、バブル期より比重が下がったとは言え、相変わらず土地・家屋の比率が半分近く占めていて、不動産が重要であることには変わりありません。また、総務省統計局の住宅土地統計調査によると、日本の持ち家比率は62%と、過半数を超える世帯が持ち家であり、家計における資産構成としても不動産は大きな比重を占めています。
昨今の土地の評価方法は、その土地が生み出す収益力を加味するようになってきました。皆様の不動産がどのように活用されているかが、土地の評価に大きくかかわってくる時代になってきたのです。

土地神話の崩壊が土地活用の重要性をクローズアップ

さて、日本では、平成初期のバブルがはじけるまでは、土地などの不動産というものは値上がりし続けるものだと信じられていました。「土地神話」と呼ばれるものです。戦後復興を経て、高度成長期には日本経済も地価も上昇しました。不動産は絶対に損しないと信じ、将来性も考え、「一億総中流階級」と言われた誰しもが一国一城の主を目指しました。
 また、国もマイホーム取得を国策として推進し、住宅取得のための融資機関である、住宅金融公庫(現・住宅金融支援機構)を1950(昭和25)年に設立しました。戦後復興~高度成長期~バブル景気が崩壊するあたりまでは、長期・低利融資で、国民への持ち家取得について、政策的な支援を行ってきたという背景もありました。しかし、平成初期のバブル経済は土地を急上昇させ、好景気に沸きましたが、バブル経済が崩壊すると、急激に上昇した地価はその後十数年にわたり下落し続けました。土地神話の崩壊です。
つまり、土地などの不動産は持ってさえいれば、いつかは値上がりして一財産が築けるというのは、遠い昔の物語となってしまったわけです。バブル経済が崩壊した後の土地の価値は、その土地が生み出す収益性に左右される「収益還元」の考え方がほぼ定着しています。ここに土地活用の重要さ(収益の確保)がクローズアップされてきているのです。

不動産は活用してこそ資産

バブル経済の崩壊以降、なぜ「土地活用」が脚光を浴びたのかといえば、土地の所有だけでは値上がりも期待できず、下がる可能性もあり、将来ビジョンもなく、保有し続けること自体には意味がないという考え方が浸透してきたからです。また、ご承知の通り、不動産は保有しているだけですと、それだけでさまざまな経費がかかってきます。
例えば、土地は所有しているだけで毎年、固定資産税や都市計画税がかかります。さらに、未活用の更地や駐車場には税務上の軽減措置がなく、負担はかなりのものとなります。固定資産税と都市計画税を伴わせて、評価の1.7%相当の税金が毎年かかってくるわけです。※実際に適用される税率は自治体ごとに異なります。固定資産税の場合は、1.4%の税率を適用している自治体がほとんどです。
また、維持費や管理の手間もかかります。所有地を放置すれば草木が生い茂り、近隣からクレームが入るケースもあり、手を入れる必要がでてきます。駐車場であっても、無断駐車、滞納、放置夜逃げ、入れ替えなど、単純にはいきません。

民法第233条に「隣地の竹木の枝が境界線を越えるときは、その竹木の所有者に、その枝を切除させることができる」という条文があります。隣人の所有地に越境した竹木の枝を切るようにクレームをつけられた場合、自ら切るか、業者等に依頼し対応せざるを得ないでしょう。近隣との関係が悪化した場合、将来の売却や建築に悪影響も与えます。不動産を保有する場合、将来ビジョンを見据えないと、資産と呼べなくなります。

固定資産税や都市計画税は、土地利用のいかんに関わらず、保有しているだけで毎年税金がかかる

収益を生む土地はその価値も上がる

つまり、ニーズに合った活用をしていない土地を保有するということは、個々人の経済的な損失のみならず、少しオーバーにはなってしまいますが、日本の国土利用という大きな視点で見た場合も、GDPに寄与しないという意味において国家経済的な損失でもあるといえます。学校や仕事に行かず、働かない人をニートと呼んでいますが、まさしく活用されない土地は、不動産のニートみたいなものといえるでしょう。
さまざまな地価発表をみてみると、収益性や利便性が高く価値を生む土地の評価は上がる一方、下落している土地もあり、二極化がはっきりと表れてきています。それでは、先ほど土地の価値に「収益還元法」という考え方が定着してきたという話をしましたが、どのようにして収益を上げて土地の価値を上げていくと良いのでしょうか。

土地活用の秘訣は、立地条件の調査(=マーケティング)に尽きます。どのような土地も、その立地に合ったニーズが必ずありますので、そのニーズをしっかりとマーケティングし、ターゲットを検証することにより、安定的で健全な収益を生み出す事業を創造することができます。

東京共同住宅協会では、土地活用でお困りのご相談も承っておりますので、お気軽にご相談ください。

2016年9月11日執筆:記事内容は執筆時点のものです。最新の内容をご確認ください。