『相続対策を念頭においた資産運用とは』
資産運用では、まず目的が大事ではないかと思います。一般的には生活費、キャッシュフローのUPを目指しますが、地主さん・家主さんでは相続税対策の役割が大きな比重を占めます。具体的には納税資金の確保、遺産分割資金の捻出、相続税課税評価対策をしながらの資産運用が必要となります。
皆さん相続時に納税資金は、いくら必要かご存じでしょうか?多くの方が「いくら位かは把握しています」とお答えするかもしれませんが、殆どの方は現時点での相続税把握なので、10年・20年先の平均余命までのことは考えられていません。実際、「せっかく資産圧縮のために借入れをし、その残債額は減ったが建物の評価額はそれほど減らず、将来の相続税はどんどん上がってしまう」という事例が多発しています。
ここでは「相続が発生する将来時点での、相続税額、納税資金、遺産分割資金の把握が必要である」との視点が抜けてしまっているのです。
不動産を仕分ける!理想のポートフォリオをつくる!
守る“不動産”と守れない“負動産”に仕分けする
相続対策を念頭に置いた資産運用をするには守る不動産と、守れない不動産(=負ける不動産)に仕分けする必要性があります。自宅や自用で使っており収益が上がるのが「守る不動産」、活用ができない、お金を稼げない土地等で、固定資産税・相続税が掛かってマイナスになるのが守れない不動産です。相続の時になくなってしまうだけなので、まずは何が最有効の活用かということを考えなければいけないのですが、場合によっては売却して現金化するというのも一つの方法です。
売却後の現金を、目的により資産運用
守れない不動産なので、将来の納税資金として土地を残しておくと考えられる方がいらっしゃいます。ところが人口が減ってくるような場所であれば、価格が下がってしまい納税資金も賄えなくなります。その場合、現金化してそこから運用していけば良い訳です。
財産防衛のための理想的なポートフォーリオ
国税庁によると、相続財産の中で不動産の占める比率は減ってきてはいますが、まだ40%強を占めています。これは一般的な平均値なので、地主さん・家主さんに限ってみると、さらに不動産の占める比率は高くなっています。不動産と金融資産のバランス、国内資産と海外資産のリスクを考えて財産構成を見直し、さらに相続税・キャッシュフローを考慮して健全な財産防衛を行うよう、図表にあるような理想的なポートフォーリオを目指されてはいかがでしょうか。