『更地のままで大丈夫?土地活用の基本とそのメリット』

■土地は「持っているだけ」で価値がある時代ではない

かつての時代には、土地を所有しているだけで価値があるとされ、多くの銀行や不動産会社、建設会社から注目を集めました。評価額以上の融資を受けることも珍しくなく、まさに「土地神話」が生きていた時代です。しかし、時代は大きく変わりました。土地をただ所有しているだけでは、価値があるとは言えません。むしろ、固定資産税や管理の手間など、所有者にとっては“負担”となるケースも増えています。こうした背景から、土地は「持つもの」から「活かすもの」へと考え方を変える必要があります。積極的に土地を活用し、自ら価値を生み出していくことが求められているのです。
土地活用には、賃貸住宅や駐車場、太陽光発電など、さまざまな選択肢があります。どの方法が最適かは立地や周辺環境によって異なりますが、共通して言えるのは「土地を眠らせておくのはもったいない」ということ。土地を有効に活用することで、収益を生み出す資産へと変えることができます。

更地は“眠る資産”——持ち続けるだけではリスクになる時代

一見すると、更地を所有していることは「何もしていないからリスクもない」と思われがちです。しかし、実際には見えにくいリスクが潜んでいます。まず、不動産には毎年「固定資産税」が課されます。建物が建っていなくても、更地である限り課税対象となり、収益がないにもかかわらず、所有しているだけで税金を支払わなければなりません。さらに、所有者が亡くなった際には「相続税」の負担も発生します。加えて、少子高齢化が進む日本では、人口減少に伴い不動産の需要も減少傾向にあります。つまり、土地をただ保有しているだけでは、資産価値が下がり続ける可能性が高いのです。

更地を眠らせない——土地活用は「攻め」の資産戦略

更地を何の活用もせずに持ち続けることは、一見安全に思えるかもしれません。しかし、実際には毎年の固定資産税などの税負担がかかり、収益もないまま資産価値が目減りしていく“眠った資産”となってしまいます。このような状況を打開するには、土地を活用して収益を生み出すことが重要です。たとえば、賃貸アパートやマンションを建てることで、家賃収入を得ることができ、さらに建物を建てることで固定資産税の軽減措置が適用される場合もあり、節税効果も期待できます。
土地活用は「守り」ではなく「攻め」の資産戦略です。立地や周辺環境に応じた最適な活用方法を選ぶことで、税負担を減らしながら安定した収益を得ることが可能になります。何もしないよりも、「何かを始める」ことが、資産価値を守る第一歩です。

■更地を活かす!賃貸住宅建築で得られる3つの大きなメリット
土地をただ持っているだけでは、税金や管理の負担がかかるばかりで、資産としての価値が目減りしてしまうこともあります。そんな更地を「収益を生む資産」に変える方法のひとつが、賃貸住宅の建築です。

① 相続税対策になる
更地のままでは相続税評価額が高くなりがちですが、賃貸住宅を建てることで「貸家建付地」として評価され、土地の評価額が約2割ほど下がる可能性があります。さらに、一定の条件を満たせば「小規模宅地等の特例」が適用され、相続税の課税対象額が大幅に減額されることも。建物についても、現金で持っている場合に比べて約6割の評価減が見込まれます。また、建築資金を借入で調達した場合、その借入金は債務として遺産総額から差し引かれるため、節税効果はさらに高まります。


② 固定資産税・都市計画税の軽減
更地のままでは税負担が重くなりがちですが、住宅用地として活用することで、固定資産税・都市計画税の軽減措置が受けられます。建物に対しても、一定の条件を満たせば、当初3年または5年間は固定資産税が軽減される制度があります。これらの税金は「公租公課」として不動産所得の必要経費に計上できるため、所得税の節税にもつながります。


③ 安定した収入が得られる
賃貸住宅経営では、入居者からの家賃収入が主な収益源となります。毎月一定額の家賃が振り込まれるため、株式や投資信託などの金融商品に比べて、安定した収入が期待できます。金融機関も、賃貸住宅経営を「安定収益が見込める事業」として評価しており、融資にも比較的積極的です。さらに、不動産所得は給与所得などと損益通算が可能なため、経費をうまく活用すれば節税にもつながります。確定申告の手間はありますが、計算は比較的シンプルで、市販の書籍などを参考にすれば初心者でも対応可能です。


土地活用は“人生を左右する事業”——成功の鍵は綿密な計画にあり

土地活用には多くのメリットがありますが、成功させるためには事前のマーケティングと綿密な事業計画が欠かせません。無計画に賃貸住宅を建ててしまうと、思わぬ落とし穴に陥ることもあります。たとえば、地域のニーズに合わない建物を建ててしまった場合、相続税評価額が下がったとしても、空室が続いて収益が得られず、結果的に赤字経営に陥ることも。これでは本末転倒です。

一度建てたら後戻りは難しい
賃貸住宅は、一度建ててしまうと簡単には用途変更ができません。「駐車場にしておけばよかった」と後悔しても、建物を取り壊すには多額の費用がかかります。にもかかわらず、土地活用という大きな決断を、すべて業者任せにしてしまうオーナーさんも少なくありません。建築会社の提案を鵜呑みにして進めた結果、ずさんな計画で損失を被るケースもあります。


信頼できるパートナーを見つけることが成功への第一歩
土地活用を成功させるには、信頼できるコンサルタントや専門家の力を借りることが重要です。中立的な立場で複数の建設会社や設計事務所を比較・調整してくれるコンサルタントは、判断材料となる比較表などを整理してくれるため、冷静な意思決定が可能になります。建築費の高低だけでなく、資金調達の条件や収益性まで含めて検討することで、コンサルタント費用以上の効果が期待できることもあります。まずはネットなどを活用して、情報収集から始めてみましょう。


ハウスメーカーを選ぶ場合も「比較」が大切
敷地条件やオーナーさんの性格によっては、ハウスメーカーに依頼する方が適している場合もあります。その際も、最低3社ほどのプレゼンを受け、中立的な立場のコンサルタントに比較表を作ってもらうのがおすすめです。メーカーによって、標準仕様やオプション、品質に大きな差があるため、慎重な比較が欠かせません。

土地活用は、単なる建築ではなく、将来の資産形成や相続にも関わる重要な「事業」です。成功のためには、地域特性を踏まえた綿密な計画と、信頼できる専門家との連携が不可欠です。焦らず情報を集め、冷静に判断することが、後悔しない土地活用への第一歩となります。