『大震災から学ぶ教訓~建物の構造~』

ここ最近、南海トラフ大地震、東海地震、首都直下型地震などの大災害が高確率で発生すると様々なメディアを通じて予測されています。こうした災害に備えるために、2度の大震災を教訓として活かしていくことが近道となります。

大震災の被害

平成7年(1995年)1月17日の淡路島北淡町を震源とするマグニチュード7.3の阪神淡路大震災では、淡路島、神戸市、西宮市、芦屋市などは、震度7の烈震に見舞われ、死者6,434人、重軽傷者43,792人、全半壊家屋274,181棟、消失家屋約7,500棟、避難者約35万人。断水130万世帯。停電260万戸。ガス停止86万世帯。電話不通30万回線。同時多発火災約290件の大惨事に発展しました。

平成23年(2011年)3月11日の三陸沖の太平洋を震源とするマグニチュード9.1の東北地方太平洋沖地震。総称して東日本大震災では、東北地方から関東にかけ震度6弱以上の烈震・激震となり、多数の地区が壊滅。死者19,747人、行方不明者2,556人、全壊の住居被害が122,005戸と第二次世界大戦後、最悪の自然災害と言われました。

東日本大震災は海溝型地震で南海トラフや東海地震と同じタイプと言われております。阪神淡路大震災は都市直下型地震で首都直下型地震となります。特に人口が密集している東京首都圏では、首都直下型地震が発生すると被害想定は、死者 最大約23,000人、全壊・焼失家屋 最大約61万棟、避難者数 最大約720万人と想定されています。

首都直下型地震の阪神淡路大震災から学ぶ、建物の被害状況データ

この地震は1923年に14万2000人以上が亡くなった関東大震災以来の甚大な被害をもたらし、近代社会においても数多くの方々が苦しみました。亡くなった大多数のかたは、建物の倒壊によるものでした。建物被害状況データによりますと、倒壊した家屋については、下記のような傾向が顕著にあらわれております。
はたして私たちはその時の教訓を本当にものにしたのでしょうか?
 私たちは、ご自身と家族の命を第一に考えなければなりませんが、賃貸オーナーの使命として「入居者の命」も守らなければなりません。耐震基準が旧耐震基準なのか新耐震基準なのか、築30年前後の建物は要チェックです。必ず、耐震診断を受けるか堅固建物への建て替えを検討しましょう。

【阪神淡路大震災建物の被害状況データ】

1.昭和56年以前の木造軸組み工法は非常に被害が大きかった。
2.昭和56年以前の建物は工法等に関係なく全般的に被害が多かった。
3.2×4工法、木質パネル工法の被害は少なかった。
4.鉄骨プレハブ棟の新しい工業化住宅は非常に被害が少なかった。
5.壁式コンクリート住宅は被害が非常に少なかった。
6.壁量の少ない建物の被害が目立った。
7.ピロティー形式の建物の被害が目立った。
8.鉄骨造の柱脚の被害が目立った。
9.鉄骨・RCの梁柱の接合部の被害が目立った。

地震対策を考え、新築・有効活用のときに選ぶ建設会社は?

注文建築と工業化住宅は、設計から施行まで大きく違います。
 注文住宅は規模によって、主に大工さんや工務店・ゼネコンが手掛けます。施行は現場監督のもと、多数の職人が係わって建物を完成させるため、良い現場長・職人に恵まれたときは素晴らしい建物が完成しますが、恵まれなかった現場は悲惨です。工業化住宅はハウスメーカーが手掛けます。国土交通省所管の一般財団法人 日本建築センター(国土交通大臣から指定を受けた「指定認定基幹」)の厳しい審査のもと、“型式適合認定”を取得しております。認定を取得していることで認定された建物は、建築確認時の審査が大幅に簡略されております。規格化された部材を工場で生産することで、スケールメリットが出せるため建築コストも抑えやすくなっております。工場で規格統一された部材などの生産、徹底した品質管理のもと品質のバラつきもなく、現場での作業も少なくなることで施工ミスの抑制につながり、工期を短縮しつつ高品質を維持しているのが特徴です。最近は商品開発が進んでいるメーカーと停滞しているメーカーがありますのでよく見比べてみてください。
 下記は、一般的な工法別比較表です。一概には判断できませんが、敷地に合った工法を選び後悔しない賃貸経営を目指しましょう。

【工法別比較表】

※RC:鉄筋コンクリート造
※SRC:鉄筋鉄骨コンクリート造