ご相談内容

私たちは兄と3姉妹の4人兄妹ですが、兄は実家で母と暮らし、私たちは皆それぞれ独立して所帯を持っております。このたび、母が亡くなり相続が発生しました。兄は、母と一緒に住んでいた経緯もあり、不動産のすべてを相続しようとして、私たちには僅かばかりの現金でお茶を濁そうとしています。

私たち姉妹はとても仲が良く、父が亡くなったときにも兄に言われるがまま遺産分割協議書に判を押しました。後で分かったのですが、兄の思うとおりの遺産分割だったかと思います。その不満がくすぶっていたのもあり、私たち姉妹の間では「母の時には、そうはいかないね」と話していたのです。

兄は、母と一緒に住んでいたと言っても、介護の殆どは私たち姉妹で面倒をみてきたのです。親からみれば、一人息子の長男を可愛がる気持ちは分かりますが、今は男女とか、年齢の上下に関係のない平等の社会だと思っています。このままではとても納得できないので、私たちの「公平に分けてほしい」という要望は、我が儘なのでしょうか。何かアドバイスがあったら教えていただけないでしょうか。

回答

法定相続制度ではどちらが産まれたとか、男女とかに関係なく、平等・公平に分けるようになっています。昔は、跡継ぎがすべてを相続する家督相続制度でしたけれども、今はそういう時代ではありませんので、お兄さんが独り占めに近い相続をしようというのは公平ではありません。もし遺言等があったとしても、遺留分制度もありますので他の相続人が守られるようになっています。今回のように遺言もないのであれば、遺産分割協議をしっかりと行い、納得できるような遺産分割をしていただくように交渉することが重要になってきます。ただ、兄弟間の話し合いほどストレスが溜まるものはありません。他人同士であれば、ある程度の敬意や遠慮があったり、行儀のよい話し合いができることも多いのですが、兄弟となると過去の行き違いが思い出されたり、感情的な反発・衝突もあるため精神的にも体力的にも消耗するものです。修復できないほどの溝ができたり、深刻な亀裂が入ってしまうこともありますので、経験豊富な弁護士さんに相談することをお勧めします。

まずは、弁護士さんに相談をして話し合う。話し合いが難しい場合は、調停という次の段階があり、調停で解決できない時には裁判になります。裁判のなかでも和解勧告がございますので、和解できる機会が何度でも出てきます。適時、弁護士と相談しながら進めるとよいでしょう。ストレスが過度になって精神的にご自身の健康を崩されるかたも非常に多いとも言えます。そういうことを考えると場数をたくさん踏んだ専門家、弁護士さんにご相談する方法が良いと思います。