ご相談内容

城南地区のJR駅近くにビルを所有しています。地下と1階が貸店舗、2~5階が賃貸住宅になっていますが、昨年の春、1階と地下をまとめて借りていただいている大手外食チェーン店から、コロナの影響で賃料値引きの相談がありました。2フロア100坪ほどの大型店舗で、私はその賃料収入を当てにしていましたので、賃料引き下げに応じるか、お断りするか非常に悩み、管理会社さんにも相談しました。

管理会社さんは、テナントさんのキャッシュフロー改善に役立つよう保証金を少しお返しするような案を出してくれました。それなら、どうせ返す保証金を早めに戻すだけなので、賃料引き下げの代案として保証金の半額返還を提案しました。テナントさんも、ありがたい提案だとして受け入れていただきました。ところが、コロナの影響は思ったより長く続いていますので、結果的には夏を前に撤退したいとの申し出があり、解約届が届きました。

管理会社さんからは、「大口のテナントさんの退去なので、空室期間が暫く続くことは覚悟してください」と言われ、不安が一杯でした。ところが、捨てる神あれば拾う神ありと言いますが、一月もしないうちに大手焼肉チェーン店が借りていただくことになりました。

これをキッカケにして飲食業界について調べてみましたが、業界がすべて駄目ということではなく、その中でも頑張っているお店があることも分かりました。これから先も厳しい時代が続くと思いますが、新型コロナ禍でも頑張っている企業情報をしっかりとキャッチしながら、賃貸経営をしていくことが大事だなと実感しています。

回答

私が担当している渋谷区のビルでも、ポツポツと退去の話があって心配しています。ところが、1軒は外資系の雑貨店入居がすぐに決まり、もう1軒はご両親からの支援で美容院を開業される方が入居されました。こういう時代だからこそ、勤めていることへの不安を乗り越えるために事業主としてスタートしたいというニーズもあるようです。この2軒の事例から、すべての業種、すべてのお店が駄目だと決めつけずに、厳しい世の中でも幾筋かの光があるのだと感じました。

ある金融機関の方から教えられましたが、良い業種、悪い業種ということで、世の中の選別は確かに始まっているそうです。ところが、コロナ禍で落ち込むのではなく、逆に売り上げ・利益とも倍増されている企業も少なからず出てきているそうです。

不動産業界でも、昨年春頃に売買とか、新築・リフォームが停滞した時期が一時的にありました。その後、住宅系を中心に賃料相場は底堅く動いていて、不動産業界全体では復調してきております。現状では、まだ弱気になる必要はありませんし、過去の歴史でも大型の疫病、戦争などの有事のあとは必ず復興需要として景気が沸いたというデータがあります。アフターコロナの中で、力強く経済に活気が戻ることを期待しながら、是非、家主さんも諦めずに頑張ってください。