ご相談内容
私は70歳を過ぎ夫はまもなく80歳ですが、子供はいません。夫はこれから先の生活を考えて、古くなったアパートを建て替えようと言い出しました。
このアパートは12世帯で、敷地にはかなり余裕のある建て方をしています。ハウスメーカーさんからは一回り大きい土地活用の提案をいただき、今より収益力もあり安定した生活ができるような計画でした。夫は、「80を過ぎているが、もし銀行融資が付くのであれば、是非やりたい」と前向きにどんどん話を進めています。
私としては、子供がいないので次世代のことを考える必要もないし、今の建物を大事にして堅実に生きていければと考えています。新しい建替事業には気力・体力も必要だし、大きな借入れを伴うので前向きにはなれないのに、私の心配など素知らぬ顔で夫はどんどん話を進めています。
入居者さん達とはとても良い人間関係を築いてきたと自負していますが、夫は、ある日突然「出て行って欲しい」と言い出しました。しかも、入居者さんに上から目線で、今まで家賃を安くしてあげたのだから協力をしろとばかりの物言いでした。
私は、「立退きなどの難しい問題は不動産会社とか、管理会社に相談した方が良い」と夫に進言したのですが、「口出しをするな」と言われてしまいました。心配していた通り、入居者さんとの人間関係も壊れてしまい、挨拶すらしていただけなくなりました。挙げ句の果てに入居者さん同士が団結してしまい、立退きどころではなくなってしまいました。
短気な夫は、次々と入居者さんと喧嘩をしたようで、そのイライラを私にぶつけるようになってしまいました。
本当に嫌気が差してしまい、この歳になったのに熟年離婚・老後離婚を考えるまでになりました。このような毎日なので精神的に参ってしまい、体調もおかしくなっています。
回答
精神的に豊かな人生を過ごすためには、経済的な支えが必要ですね。賃貸経営は重要な支えになってくれますが、あくまで人生を豊かにする手段です。大切な伴侶を泣かせてしまい、非常に辛い思いをさせるのでは本末転倒です。
ハウスメーカーさんが高齢者の方にバラ色の土地活用を勧めることは問題だと思いますが、古くなったアパートの将来選択肢はいくつも考えられます。建替というメニューもあれば、今の建物をリニューアルして大事に保ちながら健全に維持管理する方法とか、売却するメニューもあります。
本当に豊かな老後というのは何かと考えれば、まずは夫婦げんかをするような土地活用はお勧めできません。
また、「今までよくしてやったのだから」とか「庇を貸して母屋を取られる」とか話をされる、昔気質の家主さんが、まだ一部にいらっしゃいますが、立退きは入居者さんの協力なくしては実現できません。
専門家に相談していただきながら、入居者さんに対する移転についての気遣い、立退料の提示などのプロセスを踏み、丁寧に進めていかなければなりません。
今からでも間に合いますので、是非ご主人様もお連れして、当協会・相談部にお越しください。