「現場最前線!!賃貸住宅最新入居者動向」

11月1日(木)のセミナーは、(株)エイブル・武田美幸氏、 (株)矢島不動産管理・矢島健太郎氏、当協会相談員・市野健彦の3人のパネリストと、当協会会長・谷崎憲一がコーディネーターを務める「管理のプロ4人の討論会」という新しい形式で行いました。
繁忙期、AD、最新賃貸事情などについて活発な討論をしていただきました。その中から、次の2テーマについて内容紹介をします。

1.はじめに

26年間、賃貸管理に携わってきた体験を率直にお伝えします。不動産を持ち、賃貸物件を貸すことは、ご自身の財産が他人の人生と関わりを持つ、ということです。賃借人は「売り切りのお客様」でなく、「長いお付き合いのお客様」です。入居者を呼び込み、円滑にお付き合いを進めるための3つのポイントをご紹介します。

1.最近の賃料値引き交渉について

  • 入居時の値引き交渉は、7割近くある感じです。そのため、値引きを見越した賃料設定をするとか、募集賃料と成約賃料を分けて事業計画を立てるよう対策を取っています。 更新時ですが、現状維持が多く値引き交渉の事例は多くありません。
  • 入居希望者は、必ず値引きを言ってきます。すべてを家主さんに伝える訳にはいきませんので、よく事情を聞いてから伝えています。管理会社が、家主さんに納得できる適正な相場賃料を伝えることがポイントです。
  • 賢い家主さんは、「いま目の前にお客様がいらっしゃるの?物件は見たの?」と聞いてこられます。この場で値引きしないと、3か月も空室というケースもあるかもしれません。賃料値引きは繁忙期と閑散期によっても大きく異なりますので、「この時期はいくらで決まるの?」と聞いていただければ、より現実的にお話しできます。

(司会)値引きと言われたら、2つのことを言います。「いま決めてくれるなら、特別に値引きしましょう」。担当者には、「あなたが頑張ってくれているから、特別に下げましょう」と話すと、「私を見込んでくれたので、もっと頑張ろう」と思ってくれます。

2.入退去トラブル事例、困った家主さんについて

  • 退去時トラブルを防ぐには、入居時に室内状況をきっちりチェックしておくことです。家主業にとって重要なスタンスは、「負担する覚悟を持って経営すること」です。モノは使えば摩耗しますから、大らかな気持ちで対応するのが大事だと思います。何でも入居者負担と考える家主さんもいますが、業者の中でも噂になるので注意した方が良いでしょう。
  • 退去立合の後で「原状回復費用を払うと言ったが、家主の態度が悪いので1円も払いたくない」、と抗議されたことがありました。立合時刻に遅れてきたり、強い口調の態度が勘違いされたようです。
    案内時に長々と物件の自慢話をする、意見も聞かずにポストに名札を貼ろうとするなどの困った家主さんもいます。家主さんの目線を、入居者・管理会社の位置に下げていただければありがたい。
  • 案内とか、水漏れなどのトラブルの際、連絡が付かない家主さんは困ります。退去立合の際、入居者原因の傷があっても「家主負担でいいよ」と言われる方もいますが、やはり管理会社に頼んできっちり精算した方が良いと思います。

3.成功する家主さんとは?

  • お客様の声を聞いているのは、現場の管理会社なので、ある程度、委せる部分は委した方が良い。
  • 委せる人を見る目を持っている人に委せること。学ぶ意欲を持ち続けること。
  • 家主さんはサービス業で、不労所得ではありません。

セミナー、相談会の様子